1番関わりが薄いから、話しても他のヤツに言いふらされる心配がないとでも、思ったのかもしれない。
おれの口が軽かったら、どうするつもりだったんだろうか。
「いずみん」
「ん?」
「ありがとう、手伝ってくれて‥‥‥‥」
「ん、暇だし」どうせ帰宅部だ。
部活に入っていなかったのは、弟の保育園の迎えがあるからだけど。
「‥‥‥‥ありがと」
その声は、今まで聞いたどれよりも小さくて。
「ん」
でも、なんだか。
初めて、彼女らしいと思った。
それから仲良くなりました______なんてドラマみたいな都合の言い話には、ならないんだよなこれが。
あれが嘘だったかのように、今まで通りになった。
彼女からもおれからも、なにもなく。



