「本当は、受けたくないんじゃねーの」
「‥‥‥‥‥?」
「白咲女学院」
______ぱちん、ぱちん、ぱちん。
返事の代わりに、ホチキスが鳴く。
「‥‥‥ごめん、変なこと言った」
「気にしてない」
まとめ終えた資料を、机に揃えていく。
もうずいぶん減った。
「‥‥‥‥‥よかったのか?」
「なにが?」
「おれにその、‥‥‥‥受験の話とか」
「うん。別にいい」だって、と続ける。
「1番あたしのこと、興味無さそうだし」
そのときは、「なに言ってんだコイツ」と思ったけど。
今考えれば、おれは「1番どうでもいいヤツ」だったのかもしれない。



