「ごめん、大丈夫‥‥‥!?」卯の花色。色が少し濃く見える。
「サク、なにしてんだよ」萌黄色の声。
顔を見て、雨宮君だったっけ‥‥‥?と内心首をかしげる。
似た色の人がたくさんいて、うまく思い出せない。
「は、はい‥‥‥」答えながら、散らばったファイルを集める。
「東雲サン、これ」雨宮君(?)が、落ちていたファイルを集めて渡してくれる。
「あっ‥‥‥!! ありがとうございます!!」
「これ、提出物?」聞きながら、ファイルを重ねてくれる。
「はい」
「麻ちゃんは?」聞き慣れないあだ名に少し戸惑ったけど、少しして麻美さんのことだと分かった。
「部活の、ミーティングに‥‥‥」
「サク、一緒にやってやれば?」
「え、俺?」
「うん。なんか、話しかけたそーにしてたし、さ!!」
「いって!!」
ばしっ、と桜庭君の背中を叩いて、さっさと教室に入ってしまった。
「‥‥‥行こっか」
桜庭君が、ファイルを半分持ってくれる。
視界が開けて、ちょっと歩きやすくなった。