「猫被ってんのか?」
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥?」
「‥‥‥‥被れたら、よかったな」
「‥‥‥‥なんだよそれ」
「こっちの話」終わったのか、問題集を片付け始める。
ぱたん、と閉じた分厚いそれには、『白咲女学院 過去問題集』と書かれていた。
付箋がたくさん貼ってあって、使い込まれているのがおれにも分かった。
「白女、受けんの?」
「うん」おれの揃えた資料を、順番にホチキスで閉じていく。
「1回、失敗しちゃって」
「失敗って?」
「中学、落ちたから」また受けるの。と続ける。
ぱちん、ぱちん。
ホチキスの音が、なんだか痛々しくて。



