淡色の君と、透明なセカイ


______ふと、彼女の手が止まった。

ホチキスが、口を開けたままで固まっている。




「なんか、変だぞ」


「なにが」


「それ」


「なに」


「お前の、態度」


「‥‥‥‥」


「なんかあったのかよ」



______その日の彼女は。 

関わりの薄いおれですら心配してしまうくらい、落ち込んだ様子だった。


声が、いつもより暗くて。

表情も、あまり動かなくて。


いつもとは真逆の彼女に、戸惑(とまど)ったのを覚えている。




「別に。なにもないよ」

その笑顔が、何故だかとてつもなく、苦しそうに映って。