「中学の時は、正直関わり合おうなんて、あんまり思わなかったし」
______そう口にして。
ふと、
なんでこんなこと話してんだ、と思う。
隣で聴く彼女の瞳が、吸い込まれそうで。
そう思ったら、口が勝手に動いていた。
あー、そうか。
こういうことなんだな、と。
麻ちゃんがお嬢に、話したくなった理由が。
なんとなく分かった。
〈麻美 笑菜です!!よろしくね!!〉
______中学最初の日。
クラスの個別メッセージで会話したのが始まりだった。
そのときの彼女は、お嬢みたいに髪が長くて。
確か、腰辺りまであったと思う。
ポニーテールに結った髪が、彼女の動きに合わせてふわふわとしていたのが、教室の視界の端でちらっと見えた。
______そういう、距離感だった。



