「麻ちゃんの、イメージってさ」
「元気で、人懐っこくて、いつも笑顔で。
友達が多くて、いつも充実してて、悩みなんて無さそうで。
‥‥‥‥そんな感じすんだろ、今はさ」
「はい」
本当はずっと、隠してきたんだと。
苦しいとか、嫌いとか、そういうのを、圧し殺してきたんだと。
この前、彼女の話を聞いていて思った。
「真逆なんだよな、‥‥‥‥おれの、あいつへのイメージ」
「‥‥‥‥?」
「愛想笑いが得意で。成績がよくて、友達は多いのに実は誰とも馴れ合おうとしなくて。
放課後とか休み時間とか、必死に机にかじりついてる」
「‥‥‥‥ビックリすんだろ」と笑う。
「人って変わるんだなって、ここ来て思った」そう、どこか誇らしげに言う。
「なんつーか、お嬢にそっくりだったんだよな」
「‥‥‥‥え、私、ですか!?」
「そ。なんでも自分でやって。苦しいとか辛いとか、全然言わねーで‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」そうだったんだ。
「おれも、そんな仲良くなかったしな」どこか悲しげに言う。
少しだけ、萌黄色が濃くにじんだ。



