『色別対抗リレーに出場する選手は____』
「おわっ!?‥‥‥‥やば!!もう収集かかっちゃった!!」行ってくんね!!と手を振って他の子と一緒に走っていく。
忙しい人だ。
「そういえば桜庭君、戻って来ないですね」
「色別対抗出るから、多分このまま帰ってこねーな」
笑菜ちゃんの入っていった方向を見ると、異様な人だかりが見えた。
よく見ると、全員女の子だった。
「あー、多分あれだわ‥‥‥‥」呆れたように言う。
「大丈夫でしょうか‥‥‥‥」
「ま、サラッと抜けて来るだろ」
しばらく、始まったばかりの二人三脚のレースを見送る。
今日はよくコケる日らしく、何組か同じところで滑っていた。
「そいやさ、」
「はい」
「お嬢、笑菜の走ってるとこ、見たことある?」
「実は、あんまり‥‥‥‥」陸上部ってことしか知らない。
🔶
「見といた方がいいよ」すげーから!!と、嬉しそうに言う。
「泉君は、笑菜ちゃんが好きなんですね」
「ん、まぁ」友達として、と付け加える。
「______場所、移動しね?」
座っている場所から少しずれたところにあるコンクリートの階段に、2人で腰を下ろす。
離れているせいか、人は少なかった。
コンクリートのひんやりとした空気が、日差しで火照った身体に丁度いい。
今年のテント位置は日当たりがいいみたい。
「2人とも、分かりますかね‥‥‥‥?」
「向こうが終わる頃にこっちも収集かかるから」多分そのときに合流できるだろ、とプログラムの紙を見る。
「おれ、お嬢のあとだし」
「‥‥‥‥そうですね」
「ごめん、なんか急に」
「‥‥‥‥いえ」なにかあるんだろうことは、その声が少し濃くなっているのを見て分かった。
彼は少し考えて、「どこまで聞いた?」と吐き出す。
「‥‥‥‥えっと」
「あ、ごめん。麻ちゃんの話」
「あ‥‥‥‥」そういうことか。



