淡色の君と、透明なセカイ

「元気だな、あいつ‥‥‥‥」浮かれやがって、と言いながらも、いつもより楽しそうだ。


「なんか耳生やしてなかった?」


「あー、なんか尖ってるやつな」ハチマキで作ったんだろ、と教えてくれる。



周りの子も、いろいろと工夫してオシャレにしている。

すごい‥‥‥‥。

ハチマキって、ただ巻くだけじゃないんだな、と思う。



「てか、なんでおれが面倒見られる側なんだ?」面倒見られてんのはあいつだろうが、と口を尖らせる。


「麻ちゃんも、いずみんのこと心配なんだよ」


「自分が1番大変なくせに、そうやって見栄張るんだよなー」大きなお世話だっつーの、と彼女が向かった方向に目を向けている。


「‥‥‥‥ま、楽しそうだしいいけど」薄桜色が広がる。


「いずみんは、なに出るんだっけ」


「棒取り」今年もたくさん引きずってやるからな、と珍しくやる気になっている。


「そんなに凄かったの?」


「去年は、6人くらいが引きずられていました‥‥‥‥」泉君の活躍で、かなり盛り上がった記憶がある。


「おお‥‥‥‥!!」学年の綱引きは勝てそうだね!!とはちみつ色がにじむ。


「シノは、パン食い競争だよね?」


「あと、ボールリレーです」運動が得意じゃないから、なるべく走らなくていい競技を選んだ。


「じゃ、午前の最後の方か‥‥‥‥」



私と泉君の出場競技はお昼前だから、しばらくはここで暇を持て余すことになりそうだ。