「やー、楽しみだなぁ、今年の体育祭!!」先生が出るわけじゃないのに、なぜか瞳をキラキラさせている。


「部活対抗リレー見るの、好きなんだよね」と言っているけど、むしろ先生の方が出場したいんじゃないかと思ってしまう。




「あれ、もしかして、おれが出ればいいのにって思ってる?」


「‥‥‥いえ」


「本当は出たいんだけど、非常勤だし教師だし、だめなんだってさー」箒に顎を乗せてブーブー言っている。


「‥‥‥」出たかったんだ。



話していると、なんだか先生というより、同じ高校生みたいな感覚になる。

前にそう言ったら、「よく言われる」って笑われたけど。

きっとそういうところが、人気の理由なんだろうな。




「東雲さん、なんか元気出てきたみたいでよかったよ」


「‥‥‥‥そうですか?」自分じゃ、よく分からない。


「なんかこう、表情が穏やかになった気がする」笑顔も増えてきたし、と言われてしまう。


「そう‥‥‥‥ですかね」



認めたくない訳じゃないけど。

なんだか恥ずかしくて。



「なんかいいことあった?」


「‥‥‥‥え」


「____って、おれが聞くのも変かー!!」いつの間にか黒板掃除も終わっていたみたいで、後ろからちりとりを持ってきてくれる。


「‥‥‥‥いえ」