「ね、シノ」
「なんですか?」
「手伝うよ」
「‥‥‥?」なにを。
彼の視線は、私の机に置かれた日誌に向いていて。
「大丈夫です。いつも1人なので」
周りの目が気になって、こうやって突き放してしまうのに。
「困ったときは言って」なんて。
どうしてそんなに、やさしいんだろう。
変なの。
「____はい」
でも、その一言で安心してしまう私も。
なんか、変だ。
『東雲さん、今日はよろしく✨』
授業が始まると、隣の席からノートの切れ端が送られてくる。
見ると、隣の席で麻美さんがヒラヒラと手を振っていた。
『あたしが黒板やるね✨』ということらしい。
私は背が低いから、少しほっとする。
『よろしくお願いします』と返して、教科書に向き直る。
目を離していた隙に、メモの部分が増えていた。
授業に集中しないと。