淡色の君と、透明なセカイ

「____改めて見ると、それっぽいのないね」


「そうですね‥‥‥」元々、そこまで大きいものを扱うような部活じゃないし。


「あっ!!____こんなのどう?」先生が、部室の奥から石膏像やイーゼルを持ってきて、黒板前のテーブルに置く。



「重くないですか?これ‥‥‥」石膏像を持ってみると、ズシっと重みが腕に伝わってくる。


後輩ちゃん達にも持ってもらって、重すぎるという判定になった。

普通に持つならいいけど、バトン代わりじゃ重くて走るのが大変そうだ。




「こんなのもあるけど」画板やキャンバスも持ってきてくれる。


それぞれ持ってみて、協議の結果、キャンバスを立てるときに使うイーゼルを、バトン代わりにすることになった。

鞄に入っていた申請用紙にリレーで走る順番と、バトンとして使う物を書き込んで、あとは体育委員に渡すだけ。





「はぁ‥‥‥」終わった。


なんだか、初めて部長っぽいことした気がする。



「お疲れ、東雲(しののめ)さん」部室の掃除をしていると、先生が声をかけてきた。


「あ‥‥‥はい」


「もう慣れた?新部長」


「‥‥‥いえ」



まだ、なんか変な感じがする。

やっと、後輩ちゃん達と部活で挨拶をするのに慣れてきたくらいだというのに。



「緊張しいだもんなぁ」と笑われてしまう。


「‥‥‥はい」