「____ま、次自習だしいいか」席を立って、他の子のところにプリントを返しに行く。
「素直じゃないよね、いずみんも」心配ならそう言えばいいのに、と笑う。
「‥‥‥‥はい」
でも。なんだか。
そんな笑菜ちゃんが、羨ましいと思ってしまう。
「なんか、いいな‥‥‥‥」
その声は、隣からで。
卯の花色が、少し濃くにじんだ。
「____ただいま」
「おかえり」どこ行ってたの?と卯の花色の声で笑う。
「プリントついでにトイレ」
「‥‥‥‥それ持って?」
見ると、泉君の手にハイチュウが握られていた。
「‥‥‥‥っせぇな」別にいいだろ、と彼女の手の近くに置く。
「不器用だなー」
「そんな表情すんなって」居心地悪りぃわ、と少し灰色に染まった声で言う。
「いずみん、麻ちゃんのこと好きだよね」
「____は?」なんで、と返す。



