淡色の君と、透明なセカイ

「あたしさ、前から走るのとか身体動かすの好きで」






「走るときって、前しか向かないじゃん?」


「____だからあたし、走るの好きなの」






____なるほど。



「そうなんですね」


「え、なにその、まともなこと言うなーって表情(かお)‥‥‥‥」


「いえ、なんか‥‥‥‥‥‥あんまりそういう風に考えたことが、なかったので」


「そお?」シノちゃんはスポーツ苦手そうだもんね、なんて言われてしまう。


本当に苦手だから、なにも言えないんだけど。





「‥‥‥‥でもさ?」


背をもたれると、ギシ‥‥‥‥と今にも壊れそうな音が聞こえる。

この椅子、壊れそうなのに寿命長いなと思う。



「やっぱ、親の影響受けてんなーって思っちゃうんだよね」


「‥‥‥‥いけないんですか?」


「やぁ、別にダメって訳じゃないのかもしんないけどさ」




「あたし、1番最初に両親に誉められたの、徒競走で1位取ったときだったの」

なんかそれ、引きずってるなぁ、って‥‥‥‥‥‥。どこか悲しそうに笑う。



ふわ、とオレンジ色が浮かぶ。