「____あら、」

玄関を開けると、鈴木さんが顔を出した。



「た、ただいま‥‥‥‥‥‥」


「どうしたんですか、部活は‥‥‥‥」


「今日はちょっと、休んでおこうかなって」

  

‥‥‥‥?


しばらく、見つめ合う。なんかあったっけ?

そういえば、今日は頼んでないはずなのに、なんでいるんだろう。




「‥‥‥‥そうですか」

扉閉めて下さいね、と言われて、玄関を開けっぱなしにしていたことに気付く。




「笑菜さん」


「‥‥‥‥はい」
 

  

「今日は、なにかいいことありました?」


‥‥‥‥え?




「なんで?」


「今日はなんだか、吹っ切れた表情をしていますから‥‥‥‥」言いながら、嬉しそうにする。

この人はいつも笑っているけど、今日はいつも以上に嬉しそうだ。





「ケーキ、召し上がります?」


「お願いします!!」




自分の部屋に鞄を置いてリビングに降りると、すぐにケーキと紅茶を用意してくれた。



こういうのも、もう何年もなかった気がする。

今日のケーキは、今までのどれよりも美味しかった。