淡色の君と、透明なセカイ



「‥‥‥‥あ、ごめん。部活あるのに」


「いえ。どうせ何もやることがないので」


「‥‥‥‥てか、撫でるのやめない?」


「あ、もう大丈夫ですか?」


「‥‥‥‥うん」ありがとう、なんて。なんだか照れる。



人前で泣いたのなんて、いつぶりだろ。

少なくとも、中学3年の、あのときだけだったのに。




「ごめんね」


「気持ちが晴れたみたいで、よかったです」


「部活、大丈夫なの?」


「今日はサボります」立ち上がって、ジョウロを定位置に戻す。


「‥‥‥‥部長なのに?」


「はっ‥‥‥‥‥‥!?」忘れてました!!と慌てている。


こういうとこ、天然だなぁと思う。






「たまには、お休みも必要ですから」美術室に少しだけ顔を出して、また戻ってくる。




「笑菜ちゃん」
  

「なに?」