もっと色々したかったはずなのに。

気付いたら、「好きなこと」なんてなくて。


空っぽで。





________だから、羨ましくて。



教室の隅で、誰にも見向きもされないのに。

1人、机の上の白いスケッチブックに向かって、楽しそうに自分の世界を描いているあんたが。



すごく、羨ましくて。






あたしにとって、世界一羨ましくて。

同時に、世界一嫌いな人。



だからあたしは、隣に座るあんたが嫌いなんだよ。








________なんて、言ったところで。


なんにも、ないんだろうな。











「‥‥‥‥あの」


「だから、独り言だって」
  

「分かってます。ごめんなさい‥‥‥‥」でも、と続ける。





いつの間にか、彼女の声が濡れていることに気づく。


あーあ。

そんなつもり、なかったのにな。