「あれ?今日、まだ日直来てないのかな‥‥‥‥」ふと教卓を見て、彼女が言う。
教卓の上には山吹色の日誌が乗ったままだ。
「あっ‥‥‥‥‥‥!?」思わず立ち上がる。
「どした」少し濃くなった萌黄色。
「日直です‥‥‥‥!!」慌てて日誌を取りに行く。
「もうシノちゃんのとこだっけ?」
「なんか、半端なとこからだったんだよ」そいや、昨日は俺がやったな‥‥‥‥と桜庭君が教えてくれる。
「3列目からだっけ?なんでそんな中途半端‥‥‥‥」
「知らねーよ。先生の気まぐれだろ」
「わ、忘れてましたぁ‥‥‥‥‥‥」私としたことが‥‥‥。
「シノ、いつも大変そうだよね」シャーペンを走らせる私の横で、卯の花色が濃くなる。
「真面目なんだよ。いつもすごく細かく書いてるし」
「これしか、できることなくて」黒板掃除は、背の高い人にやってもらうことが多いから。このくらいは。
「そーゆーとこが真面目だっつってんの」
「‥‥‥‥?」



