「紹介してた絵って、先輩が描いたんですか?」先輩、という言葉に、ちょっとだけ緊張する。


「あ、あれは私のではなくて‥‥‥‥去年の先輩のなんです」



元々部員が少なかったせいで、部活勧誘や展示には歴代の先輩の絵を使わせてもらった。

さすがに私1人の作品では回らないし、特にこれといったコンテストにも応募してない。

年に1度、文化祭に出すくらいだ。




「先輩の絵は、ないんですか?」


「あ、‥‥‥‥‥‥」



ある、けど。

そんな、見せるようなものじゃ‥‥‥‥。



「東雲さんはすごいんだよ!!色がこう、ぐわっと来る感じでさ!!」

とにかく色がきれいだし、細かいし‥‥‥‥とあること無いこと言われてしまう。



「そんな、大袈裟なこと言わないでください‥‥‥‥」


「だってそうじゃん」なんで隠すの、という()




「先輩の絵、見たいです!!」

そう後輩(になるかもしれない新入生)に言われてしまえば、折れるほか無い。




「____これ、です」部室の、一番奥に立て掛けている絵。