そもそも、私の絵だって、そんなに表に出せるような代物じゃない。

画材の違いで、思ったように描けなかったり、色が乗らなかったりする。

気持ちが、そのまま絵になるから、すごく難しくて。




「とりあえず、部員勧誘しなくちゃ‥‥‥ですね」考えるだけで、今から胃が痛い。


「したら、麻ちゃんに頼めば?」


「‥‥‥‥え、でも同じようにできるかどうか」私は人前でハキハキ喋るタイプじゃないから。


「でも、相談に乗ってくれると思うよ」


「‥‥‥‥ありがとうございます」



彼の1言でやってみようと思えるのは、なんだか不思議で。

1人じゃこんなとき、悩んでどうしようもなくなってたと思うから。

困ったときに相談できる人が近くにいるのは、心強いな。







「笑菜ちゃん‥‥‥‥」


「なに?」


「相談したいことがあるんですけど」バスケの時間だから、パス練習しながらで申し訳ない。


「うん」いいよ、と言ってくれる。



「部活紹介に出なきゃいけなくて」


「えっ!?」そーなの!?と目を丸くする。

その拍子に、降ってきたボールが頭に当たって転がっていった。




「先生が出るんじゃないんだぁ」