「うん!!最近なんか、明るくなったなーって思ってー!!ねっ!!」


「あー、まぁ」言われてみればそうかも、と隣の泉君も納得している。


私も見ていて、最近笑顔が増えたような気がする。




「そんな、大袈裟だって‥‥‥‥」戸惑いながらもはちみつ色をにじませる彼に、頬が緩む。


「なんかいいことあった?」


「なんもないよ」ただ、と続ける。


「分かってくれる人がいると、心強いなって思った」


「‥‥‥‥‥なんの話?」


「サクの、前の話」


「ええー!!?ずるい!!あたしも聞きたかったー!!」机の上に身を乗り出して抗議する。


「お前に吹き込んだら広めるだろ!!」デコピンを喰らっている。


「いーじゃん教えてくれたって‥‥‥‥」


「そのうちね」先に話してごめん、と申し訳なさそうにする。


「まだなんかありそうだしなぁ」と桜庭君を見る。


「まぁ、‥‥‥‥‥そのうちね」灰色の声が、耳をかすめる。



言いたくないんだな、と思う。

彼にとって、どれだけ重いものなんだろう。