「他のヤツに聞いてもさ、シノのことあんまり知らないって言うから‥‥‥‥」




____当たり前だろう。

自分が変だと気付いてからは、まともな友好関係なんて築いていないんだから。
 

集団行動よりは、1人でいる方が好きだし。

声が小さいから、「しゃべらない人」として認識されているだろうし。




「あんまり、話さないので」


「クラスの人と合わない?」


「というか、よく、分からなくて。なに、話したらいいか‥‥‥‥」


「そっか」







「オマタセイタシマシタ」到着したバスに、2人で乗り込む。

同じ学校の生徒はもう帰ってしまっているし、
学校前のバス停に来るまでにほとんどの人が降りてしまうせいで、今日のバスは貸しきり状態だった。



「桜庭君は、どこまで乗って行くんですか?」


「氷町ってとこ」



氷町は、ここから3つ先。____と言ってもバス停の間隔が長いから、40分くらいはかかってしまうけど。



「シノは?」


「私は、緑が丘団地です。そこから電車で」


「え、そうなんだ。結構遠い?」


「電車に乗るって言っても、2駅くらいですよ。中学もこの辺りだったので、そんなに変わらないですが」



桜庭君は、バス停の近くに家があるみたい。近くてちょっとうらやましい。

おばあちゃんの家に住んでるんだって。