「____麻ちゃんのためだったんだ」
隣で自販機から吐き出されたジュースを取る。
「あ?」なにが、と返す。
ちょっとふっきらぼうに聞こえたかもしれない。
「やっぱいずみん、優しいなぁってさ」
「‥‥‥‥べつに、そういうんじゃねーけど」
____というかこれは、こっちの思わぬ負担を減らすだけのもんだ。
責任転嫁、と言えなくもないけど。
「____ま、ちょっとは自立してもらわないと?」
「麻ちゃんに?」
「おれに」
「は?」なにそれ、とペットボトルの蓋を落としそうになる。
「おれ以外のやつにも、そろそろ頼ってもらえるようになーってさ」
ただ、漠然と思っているだけ。
「やっぱ、麻ちゃんのためじゃん」隠しちゃって、とでも言いたそうな表情しやがる。
やめてくれ。
そういうの、嫌いなんだよ。
少しは離れてもらわないと、おれがしんどいのは本当なんだけど。



