「さみっ‥‥‥‥‥‥‥‥!!」




バスの到着時刻10分前。


真っ白な景色のなかに、2人で佇む。

 
あるのは、今いる待合所と、停留所と、古くなった自販機だけ。








「これ、いりますか」



私があったかい飲み物を渡すと、「ありがとう」と素直に受け取ってくれた。


あらかじめ水筒に入れておいたやつだ。


自分の分も注いで、手をあっためる。


コップが2つ付いてる水筒だから、こういうときに便利。







「それ、いつも持ち歩いてるの?」


「あ、これですか」と、1人分にしては大きすぎる水筒を映す。


「こういうとき用です。待ち時間が長いので」


「こっちの女子高生って、みんなそうなの?」


「いえ、たぶん‥‥‥‥‥‥‥‥これは、私だけです」


「へぇ」言いながら、お茶をすする。





さっきまでとは違って横並びになったから、目の前に白い景色が一面に見える。