「ん‥‥‥‥?」


声の方を向くと、暗闇の中、真っ直ぐあたしを見つめる瞳。

なんだか不思議と、吸い込まれそうになる。



長く伸ばした髪。真っ白な肌。細い指。

いつもの彼女が嘘みたいに、きれいだと思った。


____どれも、あたしは持ってない。






「いつでも、来ていいですからね」


その言葉に、少しだけ安心する。

掴まれた手に、少しだけ力を込める。




「あ、あと‥‥‥」

「みんな、笑菜ちゃんと一緒ですから‥‥‥‥いつでも、頼って下さいね?」



そんなこと、言わないでよ。

また、嫌いになっちゃうよ。



実は美人で彼氏もいます‥‥‥‥って?
少女漫画じゃあるまいし。

しかもこんな、分かったような台詞。


____全部、ぜんぶ。持ってるくせに。





「‥‥‥‥‥ん、ありがと」


あー。もう。ほんと。

____やっぱあたし、あんたのこと、大っ嫌い。