「てか、シノちゃん‥‥‥‥」
「はい」
「ずっと伸ばしてるの?」腰まである私の髪を見て、言う。
「なんか、切りそびれちゃって」
____本当はそんな訳もなく。
ただ、みんなからの視線を、浴びたくなかったからなんだけど。
前髪だけは、入学に合わせて切ってから、ずっと切り揃えている。
「お人形さんみたい」めずらしー、と目を細める。
「そうですか?」
中学のときも何人か腰あたりまで伸ばしてた子がいたから、特に気にしてなかったけど。
「触ってみたいー!!」と言うので、髪を乾かすときに手伝ってもらった。
____なんだかこういうの、不思議な感じ。
学校行事でも、あんまりこういうことなかったから。
すこしだけ、くすぐったかった。
「ただいまー」
リビングに降りると、お父さんが帰ってきたところだった。