「あれが‥‥‥‥‥‥?」


桜庭君の問いに、困ったように笑う。






「____これが、あたしの家だから」

そう言われてしまえば、なにも言えなくなる。







「____ねぇ、いずみんの家行ってい?」


「なんで」


「泊めて」


「無理」


「ええー」けち、とほっぺたを膨らませて、スマホに視線を移す。




「んじゃ、俺らここで大丈夫だから」通りにあるバス停のところで、桜庭君が言う。


「麻ちゃん」


「ん?」


「なんかあったら言ってね」俺にできるの、話聞くくらいだけどさ、と付け加える。


「うん。ありがと」


「じゃ」そう行って、男子2人がバスに乗り込んでいく。



「____あれ?お嬢乗らねぇの?」


「あ、私ここの近くまで、迎えに来てもらう予定なので‥‥‥‥‥‥」


「そっか」じゃ、また学校でな、と窓越しに手を振ってくる。


手を振り返して、すぐそこの角を曲がっていくバスを見送る。