「____なあ、大丈夫か?」


後ろから、泉君が声をかけてくる。

いつもより、少し灰色が混ざる。





「あら、ごめんなさいね、変なとこ見せちゃって」


「来てくれてありがとうね」と、笑顔で言う。

私達がいることを、今認識したらしい。



だけど、その笑顔が作り物だと、なんとなく分かる。

そんなこと微塵も思ってないんだな、と思う。



さっきから色が、汚いまま変わってない。

もしかしたら、この焦げ茶色が、普段の色なのかな‥‥‥‥。




「や、もうおれら、帰るんで‥‥‥‥」


「鈴木さん、こぼれちゃったとこ拭いといたから」ちょっと送ってくるね、と笑菜ちゃんが立ち上がる。




「____行こっか」

悲しそうな笑顔だった。








「____ごめんね、変なとこ見せちゃって」


「や、おれも、ビックリした」お前の母ちゃんやベーなマジで、とため息を吐く。



「大丈夫か‥‥‥‥‥‥?」


「うん。いつもだし」