「なぁ、紅茶とジュースどっちがいいかって」


「えっ‥‥‥‥?」



ほらよ、とスマホを傾けてくる。

画面には彼が言った通りのことが書かれている。



「上がってこいよなぁ‥‥‥‥」


「俺、ジュース」


「私も‥‥‥‥‥‥」紅茶にしようかと思ったけど、おトイレがどこにあるのか分からない。遠かったら怖い。


「ん、じゃおれもー」タタタタ、とスクロールして、数秒でメッセージを送信する。




「‥‥‥‥?なに、じっと見て」


「速いなぁ、と思って‥‥‥‥」フリック入力って、そんなに速くできるものなんだ。


「ああ、これ?」慣れてるからな。とドヤ顔をしてくる。


「麻ちゃんのが速いじゃん?」


「ちょ、それ言うなって!!」おれの面子が潰れるだろ!!と桜庭君に掴みかかる。


「まあまあ」




「んでも、なんかさ、お嬢って‥‥‥‥」


「‥‥‥‥‥‥?」


「結構いろんなことに興味津々っつーか‥‥‥‥」