「‥‥‥‥」
「どした、お嬢?」
「いや、‥‥‥‥‥‥」
「「おっきいなぁ、と‥‥‥‥」」隣にいた桜庭君と同時に声が漏れる。
目の前にそびえ立つのは、
いかにも「お高い家です」と主張してくる白塗りの建物。
庭も少しあるけど、その敷地のほとんどが建物で埋まっていて、足元には平らなグレーのコンクリート。
少し離れたところにこの家のものと思われる車庫と、小さいながらに門もついている。
____こんな家に住んでいたとは。
もしかして、本物の「お嬢様」というやつでは‥‥‥‥?
「____まぁそりゃ、驚くよなぁ」
「「知ってたの(んですか)?」」
「前に、あいつが熱出して課題届けたことあったから」
まぁ、中学の頃だけど。と付け加えて、なんとはなしに門まで歩いていく。
桜庭君がついていったのを見送って、私も歩き出す。
あまりにも普段のイメージと違いすぎて思考が追い付かない。
____リンゴン。
聞き覚えのない鐘のようなチャイムの音が響く。
藍色が、視界に浮かんだ。