「バイト、したいの?」


「え、あ、いや‥‥‥‥‥‥。ただ、みんなやってるのかなって思うと、大人だなぁと思いまして」


「大人じゃないよー」


「でも、お金頂いてる訳ですし。すごいなぁって思います」



自分で決めて、飛び込んでいける勇気は。

まだ、私にはない。





「あの」


「ん?」


「なんで私、ここにいるんでしょうか」



私の言葉に目をぱちぱちして、「ちょっと、話たくてさ」と笑う。

はちみつ色がにじむ。



「でも、ごめんね。買い物の邪魔しちゃって‥‥‥‥」


「いえ、特に予定もないですし」



「シノ、休みの間なにしてんの」


「えっ、と‥‥‥‥家の手伝いとか、料理とか、宿題やったり」


「へぇ」


「桜庭君は、なにしてるんですか」


「俺は、部活とか、バイトとか」東京(あっち)にいたときとあんまり変わんないかも、と笑う。