「____そうだ、シノ」


「な、なんでしょ‥‥‥‥っ?」

なんだか、さっきから他のお客さんにまで見られている気がして、落ち着かない。



「あと20分くらいで終わるんだけど、まだいる?」


「あ、えっと‥‥‥‥?」


「ああ、大丈夫よ!!」ね!!と私の代わりにお母さんが答える。

なんでお母さんが張り切ってるんだろう。



「ち、ちょっとお母さん‥‥‥‥‥‥」


「いいのよ」あとで話聞かせてね、と小声で言う。



そういうの、恥ずかしいから。

本当にやめてほしい‥‥‥‥‥。



「じゃ、あとで来るね!!」

ふわ、とはちみつ色をにじませて、彼が去っていく。



「あんたもモテるのね」


「違うってば‥‥‥‥‥‥」



モテるのは、桜庭君の方だ。

私はただ、隣にいさせてもらってるだけで。