「じゃ、いこー」
そんな私を置いて、さっさと廊下に出ようとする彼。
今気付いたけど、制服のままだし、鞄を肩に掛けている。
「あ、あの、この貸し出し表を図書室に返さないとなのでっ!!」
「じゃ、一緒に行く」
「え」
「だって、最近シノとあんまり話してないからさ」
慌てて荷物をまとめ、貸し出し表を持って桜庭君のあとに続く。
「あの、部活は‥‥‥‥‥」
「今日はサボり」
「えええ」
「嘘。こんな雪じゃ体育館ばっかりだし。
こっち来てから、雪降るから早く帰れって、あんまり部活できてないし」
今日は木曜日だから部活ないしね、と言われて。そういえばそうだったな、と思い出す。
せっかくなら外でやりたいなぁ、とにじむ卯の花色を見ながら、サッカーそんなに好きなのかな、と思う。
ふと、窓の外を見る。
度重なる雪で、校庭はもう真っ白だ。