____あのとき「友達はたくさんいていい」って言ってくれたおかげで、今までの悩みが一気に消えました。
____特に話したこともないのにやさしいな、と思いました。
____実はあのとき、初めて他の人に悩みを打ち明けました。このことを知ってるのは、海音さんだけです。
____この前、またお父さんの転勤が決まって、引っ越すことになりました。今までで一番、転校したくないと思いました。
____最初に海音さんに言いたかったけど、離れたくないのでこっそり転校しようと思います。
ここで1度、文章が途切れていた。
『こっそり転校』って、無理じゃんか。
確かに、書いてある通り何も言わずに行っちゃったけど。
結構ショックだったの、知らないんだろうな。
手紙の最後には、タイムカプセルを開けたときのことが書いてあった。
____タイムカプセルを開けるのは、高校生になってからだと先生から聞きました。大人になったら、かっこよく告白したいと思います。
6-2 星川 昴
読み終えると同時に、視線を感じた。
ふと顔を上げると、成長した星川君の顔がある。
「ごめん。変なこと、書いてなかった?」
「ううん、大丈夫‥‥‥わたしも、変なこと書いちゃってたかも」
「そう?」
「うん‥‥‥‥」
さっきから、ものすごい速さで心臓が波打ってるのが分かる。
手紙読んだせいだ。
だって、あんなこと書かれてたら‥‥‥。
自分のほっぺたを触ってみて、かなり熱くなっていることに気が付いた。
やばいよ、これ‥‥‥‥。
自分でどうにか制御できるものでもないらしく、一向に収まってくれない。