海音(あまね)は、手紙にしたんだね」




思わず顔を赤らめて(うつむ)くわたしの手元を見て、彼が言う。




「うん‥‥‥」




見ると、彼の手にも手紙が握られていた。未来の自分宛だろうか。


何か書いてあるけど、彼の手が大きくてよく見えない。




なぜか、封筒の柄がわたしのと一緒だ。


わたしが同じやつにしようって言ったんだっけ?


記憶が薄れていて、理由についてはよく覚えてない。








遠くの方で、みんながぎゃぁぎゃぁと騒いでいる。


わたしと同じように手紙にした人たちは中身を見せあっていて、図工の作品や運動会で使った旗なんかを入れた人は、思い出話をしていて。


6年ぶりに集まったのに、いつの間にか昔に戻ったように感じる。


見ていて、わたしまで懐かしくなった。






「海音、これなんだけど‥‥‥」

落としかけた視界に、わたしのと同じ柄の封筒が映る。



「なに?」


「これ、海音宛てなんだ」


「え‥‥‥?」




封筒の表に書かれた『月城 海音(あまね)さんへ』の文字に、心臓の音が高鳴っていくのが分かる。


まさか同じだったなんて、思ってもみなかった。




「実は、わたしも‥‥‥」

おそるおそるわたしが差し出した封筒を、彼が手に取る。


「‥‥‥これ、何書いたか憶えてる?」


「うーん‥‥‥。あんまり」




手紙を開く前に、内容を聞きたいということだろうか。


と思って、返事をはぐらかしておく。


内容のことなんて、恥ずかしくて言えない。







「‥‥‥開けていい?」






「ま、まってっ!!」


手紙を開けようとする彼の手を、思わずつかんでしまった。


目を丸くしている彼の表情が映る。ごめんなさい。




「せーので開けよう?」私が言うと、うなづくのが見えた。








「「せーの!!」」