春の風を感じながら、ある場所に向かう。
制服を着ているけど、目的地は別のところだ。
「____‼」
ぴろんっ、と軽い音が耳に届く。
さっきから連続で聞こえてくるそれで、だんだん人が集まってきているのがわかる。
楽しみだなぁ。
今まで早足で歩いていたけれど、耐えきれなくなって走り出す。
2、3分もすると、小さな人だかりが見えてきた。
あれみたいだ。
『ついた‼』とメッセージを打って向こうに届くまで、1秒もかからなかった。
その中の数人がこっちを見て、わたしに気付く。
「海音―!!」
「久しぶり!!」
そこには、かつて同じクラスだった人達が集まっていた。
手を振り返して、肩で息をしながら公園の中の人混みへと向かっていく。
[____3月1日、11時に下原公園に集合。制服ね!!]
そのメッセージがSNSのグループチャットに送られてきたのは、1カ月前。
小学校の秋休みに埋めていたタイムカプセルを掘り出そうってことになったんだ。
「海音―、遅いよー!!」
「ごめんねー。これでも走ったんだけど‥‥‥‥」
「リボンの色可愛いね!!いいなぁー」さとちゃんは、当時のクラス委員だ。
「なんで制服?」
「だって、みんなの制服見たいじゃん!!」
市街の高校に行った人や引っ越してしまった人がいるのに、思ったよりも人数が集まっていた。
制服も、市内のものだけじゃなくて多種多様だ。
中学受験をしたのか、一貫校の制服を着ている人が数人。
女子はメイクをしているせいか、当時より大分大人びて見える。
男子はかなりたくましくなっていて、誰なのか判別がつかない人も。
面影があるかと思いきや、案外そうでもないらしい。
そこここから聞こえる会話から、名前と顔を一致させていく。
「みんなー!!久しぶりー!!」
一際嬉しそうな声が聞こえて、当時の担任の先生がやってきた。
6年ぶりなのに、不思議とあんまり変わっていないように見える。
いないなぁ‥‥‥‥。
みんなが先生と話す中、キョロキョロと辺りを見回すわたし。
「海音、どしたん?先生のとこ行こうよー」
「あー、うん」
「もしかして、星川君?」
そうだけど‥‥‥。
うん、と言っていいのか、否定していいのか分からなくて答えられない。
「へぇ~?そうなんだぁ~?」
さとちゃんがににまにまと変な笑みを浮かべながら、先生のもとへ走っていく。
「来るといいね」なんて、耳打ちされてしまった。
そんなこと、わたしが一番思ってるってば。
制服を着ているけど、目的地は別のところだ。
「____‼」
ぴろんっ、と軽い音が耳に届く。
さっきから連続で聞こえてくるそれで、だんだん人が集まってきているのがわかる。
楽しみだなぁ。
今まで早足で歩いていたけれど、耐えきれなくなって走り出す。
2、3分もすると、小さな人だかりが見えてきた。
あれみたいだ。
『ついた‼』とメッセージを打って向こうに届くまで、1秒もかからなかった。
その中の数人がこっちを見て、わたしに気付く。
「海音―!!」
「久しぶり!!」
そこには、かつて同じクラスだった人達が集まっていた。
手を振り返して、肩で息をしながら公園の中の人混みへと向かっていく。
[____3月1日、11時に下原公園に集合。制服ね!!]
そのメッセージがSNSのグループチャットに送られてきたのは、1カ月前。
小学校の秋休みに埋めていたタイムカプセルを掘り出そうってことになったんだ。
「海音―、遅いよー!!」
「ごめんねー。これでも走ったんだけど‥‥‥‥」
「リボンの色可愛いね!!いいなぁー」さとちゃんは、当時のクラス委員だ。
「なんで制服?」
「だって、みんなの制服見たいじゃん!!」
市街の高校に行った人や引っ越してしまった人がいるのに、思ったよりも人数が集まっていた。
制服も、市内のものだけじゃなくて多種多様だ。
中学受験をしたのか、一貫校の制服を着ている人が数人。
女子はメイクをしているせいか、当時より大分大人びて見える。
男子はかなりたくましくなっていて、誰なのか判別がつかない人も。
面影があるかと思いきや、案外そうでもないらしい。
そこここから聞こえる会話から、名前と顔を一致させていく。
「みんなー!!久しぶりー!!」
一際嬉しそうな声が聞こえて、当時の担任の先生がやってきた。
6年ぶりなのに、不思議とあんまり変わっていないように見える。
いないなぁ‥‥‥‥。
みんなが先生と話す中、キョロキョロと辺りを見回すわたし。
「海音、どしたん?先生のとこ行こうよー」
「あー、うん」
「もしかして、星川君?」
そうだけど‥‥‥。
うん、と言っていいのか、否定していいのか分からなくて答えられない。
「へぇ~?そうなんだぁ~?」
さとちゃんがににまにまと変な笑みを浮かべながら、先生のもとへ走っていく。
「来るといいね」なんて、耳打ちされてしまった。
そんなこと、わたしが一番思ってるってば。