「僕は今でも大好きだよ」


「……え?」
 
 あまりにもサラッとそう言うものだから、聞き間違えかと思った。
 
「あの頃から僕のひーくんへの気持ちは何にも変わってないんだよ。ひーくん以外好きになるなんてありえない」
「遥、俺も……」
 
 そう言いかけてやめた。
 あの頃とは何もかもが変わってしまったんだ。
 俺が好きなのは、遥じゃなくて、『はるかちゃん』じゃないのか?
 ……分かんねぇよ。
 とにかく、今すぐこの問いの答えを出すのは難しそうだ。
 だから、
 
「これからは友達としてよろしくな」
 
 そう言って、俺は自分の右手を差し出し握手を求めた。
 
「う、うん……ひーくんがそれでいいなら。」
 
 遥が若干戸惑っているのは見なかったことにしよう。
 ……これで良いんだ。