ホームルームの後、
いつもと同じように授業が始まったわけなのだが……
 授業を受けている間も、ずっとあの転校生のことが頭から離れなかった。
 ちなみにそんな状態が四時間も続いた。(門脇とは取っている授業が一つも被っていなかった。)
 さっきのは、俺の勘違いなのか、そうじゃないのか。
 一刻も早く、真実を確かめたかった。
 そして、今は昼休み。
 近藤は彼女と昼飯を食うので、この時ばかりは俺もぼっちに戻ってしまう。
 良いなぁ、彼女持ちは……
 初恋に囚われてさえ無ければ俺も今頃そうなっていたのだろうか…
 ……現実逃避してないで食おう。俺はコンビニのレジ袋から今朝買った、たまごサンドを取り出した。
 と、その時。後ろから誰かに肩を叩かれた。
 振り向くと、門脇がいた。
「俺に何か、用か?」
「うん、屋上に来てほしいんだけど……」
「今?」
「うん、今すぐ‼︎」
 急ぎの用らしい。
「分かった」
 これはもしかして、
 もしかすると……
「あっ、お昼ご飯も持ってね?」
「え?あぁ」
「それじゃ、行くよ。吉川君っ!」

 ー俺の手を引いてそう言った門脇の顔には、
あの子の面影が確かにあった。