「では、号令お願いします」
「「ありがとうございましたー」」


「うおおお〜‼︎昼飯じゃあああ〜‼︎」

物凄い声量で近藤がそう叫んだ。

「…近藤、うるせぇ。」

鼓膜破れるかと、思ったわ。

「ごめんって〜。」

近藤は頭をぽりぽりと掻くと、舌を出してみせた。
お前、絶対反省してないだろ……

「なあ。近藤」
「何だ?」
「五時間目って何だっけ?」
「今日水曜だよな?ってことは……体育じゃね?」
「げっ……」

運動がこの世で一番苦手な俺としては、体育の授業ほど憂鬱なものは無い。

「じゃあオレはっ、愛しのマイエンジェル雪菜の所へ行って来るわ♪」

ちなみに雪菜というのは、近藤の彼女、麻倉さんの名前だ。

「お昼♪お昼♪雪菜と一緒にお・ひ・る‼︎」

テンションダダ下がり中の俺のことなどは無視し、
鼻唄を歌い、スキップしながら、教室を出ていく近藤。……ご機嫌だな。
さて、俺も着替えに行くか…
体操服入りのナップサックを机の横のフックから外すと、俺は更衣室に向かった。