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第一志望の入試の日はうんと寒くて、けれどとても天気のいい日だった。
手ごたえは半々と言ったところ。
けれどできることは全てやったし、今日はもうすぐ滑り止めとして受けた大学の合格発表がある。
普通こういうのは親と見るものなのだろうが、今の自分の状況的にも一緒に見られるわけはなく、学校に行ってみんなと見ることにした。

「あ!奏葉きた!お疲れ様ー!」

「疲れたぁ…」

「そりゃそうだよね…」

「ほんと偉い!よく頑張った」

教室に入ると、もう授業は全て終わっており残っているのは私達だけだった。
みんなに迎え入れられ、ほっとする。
今日の試験で入試自体も最後だった私は、解放感で溢れていた。
奥に座っていた山宮くんとも目が合う。
山宮くんは数日前ここから近くの大学に合格したと連絡があった。
その結果に安心して私も今日の試験に臨むことができたので、きっと大丈夫なはず。

「てかほんとに私達と一緒に見ちゃっていいの?」

「うん。みんなとがいいんだ」

みんなと一緒にいる時に見ることができれば、もし落ちていてもその後しばらくはへこまないでいられる気がして。
「落ちてたら笑って励まして!」なんて無茶なお願いまでしてしまった。

「もう結果は出てるんだよな」

「うん。ちょっと待ってね」

もう既に結果はインターネットから見られるようになっており、私は緊張しながらログインを済ませる。

「…できた」

「も、もうみる?」

「うん。見ようかな」

「うぅ、怖い…」

みんなが祈る中私は薄ら目でスマホをタップし、そっと目を開いた。
そこには、合格の文字。

「合格だ!」

「受かってる!すごいよ奏葉!わ」

「おめでとう…よかった、奏葉も大学生になれるね!」

「う、受かった…」

みんなの歓声でやっと自分が合格したことを自覚する。
第一志望ではなくとも、とりあえず自分の行く場所があることにとにかく安心した。
思わず腰が抜けそうになる。