愛梨ちゃん達は私が説明したことで告白については納得してくれた。
「みんな、まずどこ行きたい?」
「俺部活の後輩達のクラス行きたいんだけど!」
「いいね。じゃあまずそっち行ってみようか」
まず最初は柏木くんの後輩のクラスの出し物を見に行くことになり、私達は階段で二階の教室に向かった。
その途中、不意に山宮くんの隣になる時がある。
お互い存在には気がついているけれど、どう話せばいいのか分からない。
あの日も結局私のスマホが鳴ったことで繋がっていた手は離れてしまったし、友達のままでいたいと返事をもらわなかったのは私の方なのに、今は上手く山宮くんを見られない。
やっぱり告白なんかするべきじゃなかったかな。
こんな気持ち、山宮くんが初めてで何も上手くできない。
「柏木先輩!来てくれたんですか」
「当たり前だろ!あ、みんなー、こいつらサッカー部の後輩」
「神谷先輩達も⁈やば、めっちゃ可愛い」
「へへ、ありがとう」
柏木くんの後輩達は愛梨ちゃん達を見て顔を赤くしていた。
愛梨ちゃん達や山宮くんがいかに学校内ですごい人なのかを改めて思い知らされる。
後輩にも顔と名前が知られてるなんて、私はやっぱり相当場違いなところにいるんだな。
「先輩達、うちのお化け屋敷寄っていきませんか?」
「えー、でも私怖いの苦手なんだよね」
「大丈夫ってす!全然低クオリティなので!」
「そんなこと言わないの~」
蘭ちゃんと凪咲ちゃんが一言喋る度に男の子の視線が動く。
もちろん私は初対面の人とフレンドリーに話すことなんてできるわけがないので、ここは愛梨ちゃん達にお任せしてしまった。
「山宮!奏葉!ここ入ってみようよ!」
「うん」
最初の教室の出し物は定番のお化け屋敷。
去年も一昨年も文化祭は楽しんだ記憶がなく、ただただクラスの出し物のシフトをこなしただけで、こういった楽しみ方をするのは初めてだった。
高校生の作るお化け屋敷ってどういう感じなんだろうと思いながら入ってみたけれど、中は想像よりしっかりとした作りで、外の光も入らないようになっていた。
愛梨ちゃん達が先に入ってしまったせいで、私と山宮くんは必然的に一緒にお化け屋敷に入ることになった。