けれど私は、山宮くんのその眩しさを太陽に新しい世界を知ることができた。
だから山宮くんのその仮面は、駄目なものなんかじゃないと私は思う。

「本当の山宮くんだけじゃなくてもいいよ。頑張って取り繕ってる山宮くんも、私にとっては山宮くんだから。私はその山宮くんに救われた。山宮くん言ってくれたじゃん。本当は優等生じゃなくたっていい。そんなことで私の価値は決まらないって。それと同じことだよ」

ずっと張りつめていた彼の瞳から一粒の涙が零れて、山宮くんはそれを慌てて拭っていた。

「取り繕っている山宮くんのことも、こうしている今の山宮くんも、他の人が違うって言ったとしても私にとっては変わらない。そんなの関係ない。そういう山宮くんこと全部含めて、好きだから」

山宮くんが濡れた瞳のまま、顔をあげた。
繋がっている手が熱い。勢いのまま出た言葉はもう取り戻せない。
けれどいいと思った。

「白石さん、俺…」

「ううんいいの。今伝えたのに対して山宮くんが何か考える必要はないの。ごめんねいきなり」

「でも」

「伝えたかっただけ。山宮くんが私に話してくれたのと同じように」

山宮くんは何か言いたそうな顔をしていたけれど、私はその言葉を止めた。
もし今ここで断られたら、もう山宮くんとは友達ではいられなくなる。それが嫌だった私の我儘だ。
そんな私の我儘を山宮くんは素直に受け入れてくれた。

「話、してくれてありがとう。私は絶対山宮くんの味方だよ」

「味方って大袈裟な…」

「ほんとだよ!」

あぁ、やっぱり君は涙よりも笑顔が似合う。
あなたの笑顔を守るために、私に何かできることはあるのかな。
窓の外ではもう月が微笑んでいた。