週末を挟み、月曜日が来た。
少し憂鬱な月曜日も山宮くんとの約束があることで気が晴れる。
珍しく窓を開けて外の空気を吸ってみたりした。
ただ一つの約束。それだけのことなのに山宮くんの存在は私の心を躍らせる。
もう二年半も着ている体に馴染んだシャツを腕に通して、髪の毛を整える。
最近は余裕がなくて見た目をおざなりにしがちだったので、今日は少し気を張って準備をしてみた。
この間愛梨ちゃん達に教わったメイクを薄く顔に施し、髪の毛は念入りにアイロンをかける。
きっと金曜日よりはましな見た目になったので、荷物を持って家を出た。
今日、山宮くんを文化祭を一緒に回れないかどうか聞こうと昨日の夜自分で決めた。
けれどどんな話の流れで誘えばいいのか分からない。
みんなでいる時に誘うのも無理だけど、二人きりの時に誘うのはもっと無理だ。
考えれば考える程分からなくなって、昨日は眠れなかった。
今も気がつくとまた考えてしまう。山宮くんのことを。
結局教室にいる間は山宮くんと二人で話すことなどできず、放課後を迎えてしまった。
早く放課後になってほしいと思っていたのに、私はまだ言い出せずにいる。
目の前で山宮くんは英語の勉強をしていて、真面目な顔がかっこいい。
そんなことを考えていたらいつの間にか時間は過ぎて、今日が終わってしまう。
そうなってしまうわけにはいかないので、どこかで切り出さなければいけない。
ずっと山宮くんの方を見つめていると、ふと顔をあげて綺麗な瞳と目が合った。
「ん?」
「あ…いや、えっとね。文化祭のことなんだけど」
「うん」
私は勇気を決めて山宮くんに言った。
「一緒に、回れないかなって…」