「そういえば!今度の花火大会、山宮と柏木も誘ってもいいかな…?」

「えっ⁈」

「あ…ごめん、もしかして嫌だった?」

「そ、そんなことないよ。でも、なんで?」

突然山宮くんの名前が出てきて、変な反応をしてしまった。
最近やけに山宮くんの存在が気になって仕方がない。前から目を惹かれる憧れの存在ではあったのだが、今は少し違う感情な気がしている。
それより、なぜ二人も誘うことにしたのだろうか。
愛梨ちゃんの方を見ると、少し言いずらそうにしていたので、余計に気になってしまった。

「実は…さ。奏葉には言ってなかったんだけど」

「うん、?」

「柏木のこと好き、なんだよね」

少し顔を赤くして告白した愛梨ちゃん。
一方驚きのあまり開いた口が塞がらない私。
愛梨ちゃんが、柏木くんを。そうか、全く気が付かなかった。

「そ、そうだったの?」

「うん。結構前から…」

「ごめん、気が付かなくて」

「いやいやいや!むしろ気がつかれてなくて安心したというか。まだ…本人には何にも言ってないし」

愛梨ちゃんの話だと、去年から片思い中で本人は鈍感なため全く気付いてもらえないそう。

「そっか…愛梨ちゃんが柏木くんのこと…」

「ねぇ改めて言葉にしないでよ恥ずかしいじゃん!」

「応援する!花火大会一緒に行って、柏木くんに少しでも意識してもらいたいね」

「…ありがとう」

照れくさそうに笑う愛梨ちゃんはとても可愛かった。
柏木くんはすごいな。愛梨ちゃんからこんな表情を引き出せちゃうのなんて、きっと柏木くんだけなのだろうから。

「それより!奏葉もでしょ?」

「私?」

「山宮のこと。せっかく一緒に行くんだから、奏葉も頑張りなよ」

「だ、だからほんとにそういうのじゃないんだって!」

やはり私が山宮くんのことを好きだと思っているらしい愛梨ちゃんに慌てて首を振る。
山宮くんの名前が出るだけで急に全身が熱くなってしまうのが嫌だ。私だけこんなに意識して、何だかおかしい。

「まだ迷ってるの?じゃあ花火大会ではっきりさせるしかないね!」

「はっきりって…だって分からないんだもん」

「んー?でも奏葉にとって山宮は特別なんでしょ?特別な人なんて早々できるものじゃないよ」