一週間前に体育祭が終わり、もうすぐ七月。
あと二週間で大切な期末テストがやってくる。
いつも試験二週間前を切ると急かすようなお母さんの言動で、心が落ち着かなくなる。
最近は塾の面談でも受験の話ばかりされて、親と塾の先生の誘導の下適当に志望校を決めてしまった。
自分の志望校すら私に決めさせてくれないお母さんにもイライラしたけれど、かと言って行きたい学校も叶えたい未来も何もない自分自身に一番イライラした。
いつもお母さんのせいにして、現状を変える努力すらしない自分のことが一番嫌いだ。
「奏葉、進路希望調査出した?」
「うん」
「まじかーまぁそうだよね、奏葉はしっかりしてるもん…」
「そんなことないよ。私は親に言われてるだけだから…」
塾で大学受験の話が出る、ということはもちろん学校でも進路についての話が増えるわけで。
愛梨ちゃんだけではなくみんな、自分の将来について悩む時期なのだと思う。
「話聞いてて思うけどさ、奏葉の親って結構厳しい感じ?」
「あー…うん。昔から結構勉強に関しては」
「へー、うちの親と正反対。うちまじで放任だからさ、進路の話とかしても何も意見言ってくれないし。奏葉の親が羨ましいよ」
そう言っている蘭ちゃんも、かなり進路に悩んでいる様子だった。
体育祭をきっかけに愛梨ちゃん達三人と一緒にいることが増えたけど、まだ親のことは何も行っていない。
自分の両親の考え方が一般的ではないことは分かっているし、そんな話をしてみんなのことを困らせたくない。
何より、引かれたくなかった。
そんな親にずっと逆らうこともできずに言いなりになって、自分の意思がない人間だと思われたくない。
きっとみんなは私のことを過大評価している。
勉強ができるからといって、恐らく私のことをすごく「いい子」だと思っている。
本当の私はただ自分の意思がないから、親に従うしかないどうしようもない人間なのに。