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神様は意地悪だ。
私達の言葉なんかで簡単に未来を変えてくれやしないし、それを遠慮なく差し出してくる。
今日みたいな日もそうだ。
きっと神様が意地悪をしたのだろう、と雨の止まない空を見て思った。
けれどその意地悪は、人によってはありがたいことだったりする。
きっとそんな風に世界は成り立っている。
去年までの私だったら、きっとこの雨も神様からの贈り物だと喜んだだろう。

「体育祭なくなるとかまじかよ。今年で最後だったのに…」

「しょうがないだろ、こんな土砂降りなんだから」

「まぁ今年雨全然降ってなかったもんね」

教室で項垂れるクラスメイト達。
今年の体育祭は予測できない大雨のため中止となり、実質予行練習が当日だったかのようになってしまった。
私達三年生はこんな形で最後の体育祭が終わってしまい、みんな残念そうにしている。

「あー!なんか昨日手抜いて走ってたお前にイライラしてきたわ!」

「責任転嫁すごいな」

山宮くんは最大級に落ち込んでいる柏木くんを慰めながら、右手ではスマホをいじっていた。
でも何だか今日の山宮くんは少し違う。
体育祭が中止になって落ち込んでいるのではなく、単純に元気がないように見える。私の思い過ごしだろうか。
朝から何となく山宮くんが気がかりで、いつもとは違った意味で目が離せない。

「体育祭中止なら授業やらなくていいじゃんか、ね」

「ほんとそれ。だるすぎ…」

愛梨ちゃん達ももちろん体育祭を楽しみにしていたので、かなりダメージは大きいようだ。
けれど学校は容赦なく一限目からいつも通り数学の授業を始めた。
恐らくこの教室、いや、学校中の生徒が今行われている授業の内容など頭に入っていないのだろう。
それを感じ取った数学を担当している若い男の先生は授業の半分を自習という名の自由時間にしてくれた。