「だから愛梨が話しかけにいった時、私達よっしゃ!って思ったんだよね」

「え?そうなの?私知らないんだけど?」

「けど奏葉ちゃん私達のこと苦手なのかもって思ってたからあんまり愛梨みたいにぐいぐい行くのもどうかなって迷ってたんだ。ごめんね」

「いや、そんな…こちらこそ、上手く話せなくてごめんなさい」

「だから今話せて嬉しい!さ、髪型どうしよっか?私が思いっきり可愛くしてあげる!」

蘭ちゃんはそう言って私の髪の毛をふわりと触る。
話す前までの緊張は、もうどこかへ飛んでいっていた。

「お…おまかせ、で」

「よし、了解!」

少し前の自分からしたら全くあり得ない状況で、無意識に頬が緩む。
夢のようだけど、夢じゃない。
いつも蚊帳の外だった私を、愛梨ちゃんがこちらの世界に飛び込ませてくれたんだ。