マイロス学園長はゆっくりと話を続ける。
「聖院は必ず次の手を打ってくるはずです」
「……その点はこちらも警戒しています」
俺の新しい診療所づくりは、これまで訪問診療で出会った人たちの支援もあってうまくいっている。このままのんびりと過ごしていきたい――という考えでいたが、そのためには聖院を無視できないみたいだ。
「ご安心ください。そのうちあなたを聖院から守ろうと、大陸中の猛者たちが集まってくるはずですよ」
「それはそれでちょっと怖い気もします……」
猛者というわけじゃないが、ストックウェル商会はすでにデロス村支店を完成させつつあるんだよなぁ。あっちに関してはラッセル村長も乗り気だからスムーズにいっているのだろうけど。
「いっそこの学園の敷地内で暮らすというのはでしょう? 職員寮にはまだ空き部屋もありますし、生徒たちも喜びます」
「お気持ちは嬉しいのですが……やっぱり、俺にはあの場所が合っていますので」
ありがたいお誘いではあるが、丁重にお断りをする。
正直、ちょっと心揺らいだ。
学園には農場として利用できる広大な土地があるし、何より資料や王立の研究機関が立ち並んでいるので魔草を育てるのに専念できる。
けど、これからも訪問診察をやるためにあちこち飛び回る予定なのであまり一ヵ所にとどまるわけにはいかないんだよな。
むろん、俺のそうした活動を学園長も知っているので、きっとダメもとでのお願いだったのだろう。あっさりと引き下がってくれた。
「やはり、あちこちを飛び回って人々を癒すのがあなたらしいですね」
「ご理解いただき、ありがとうございます」
深々と頭を下げ、別れの挨拶をする――と、
「では、こちらで宿泊だけでもしていってください。食事は学園の食堂がありますし、共同ですが大浴場もありますよ」
「そ、そんな、ご迷惑では……」
「とんでもない。あなたには学園の生徒たちも大変お世話になっていますからね。使い魔の卵はこちらで大切に保管しておきますから」
「何から何まで、本当に助かります」
ご厚意に甘える形で、俺たちは宿屋ではなく学園に一泊することとなった。
とりあえず、この決定をジュリクとロアムに知らせるため、俺は学園長にもう一度お礼を言ってから部屋を出る。
「さあ、ふたりを迎えに行こうか」
「あーい!」
心なしか、リーシャも嬉しそうだ。
俺も楽しみなんだよなぁ……ワクワクしてきたよ。
「聖院は必ず次の手を打ってくるはずです」
「……その点はこちらも警戒しています」
俺の新しい診療所づくりは、これまで訪問診療で出会った人たちの支援もあってうまくいっている。このままのんびりと過ごしていきたい――という考えでいたが、そのためには聖院を無視できないみたいだ。
「ご安心ください。そのうちあなたを聖院から守ろうと、大陸中の猛者たちが集まってくるはずですよ」
「それはそれでちょっと怖い気もします……」
猛者というわけじゃないが、ストックウェル商会はすでにデロス村支店を完成させつつあるんだよなぁ。あっちに関してはラッセル村長も乗り気だからスムーズにいっているのだろうけど。
「いっそこの学園の敷地内で暮らすというのはでしょう? 職員寮にはまだ空き部屋もありますし、生徒たちも喜びます」
「お気持ちは嬉しいのですが……やっぱり、俺にはあの場所が合っていますので」
ありがたいお誘いではあるが、丁重にお断りをする。
正直、ちょっと心揺らいだ。
学園には農場として利用できる広大な土地があるし、何より資料や王立の研究機関が立ち並んでいるので魔草を育てるのに専念できる。
けど、これからも訪問診察をやるためにあちこち飛び回る予定なのであまり一ヵ所にとどまるわけにはいかないんだよな。
むろん、俺のそうした活動を学園長も知っているので、きっとダメもとでのお願いだったのだろう。あっさりと引き下がってくれた。
「やはり、あちこちを飛び回って人々を癒すのがあなたらしいですね」
「ご理解いただき、ありがとうございます」
深々と頭を下げ、別れの挨拶をする――と、
「では、こちらで宿泊だけでもしていってください。食事は学園の食堂がありますし、共同ですが大浴場もありますよ」
「そ、そんな、ご迷惑では……」
「とんでもない。あなたには学園の生徒たちも大変お世話になっていますからね。使い魔の卵はこちらで大切に保管しておきますから」
「何から何まで、本当に助かります」
ご厚意に甘える形で、俺たちは宿屋ではなく学園に一泊することとなった。
とりあえず、この決定をジュリクとロアムに知らせるため、俺は学園長にもう一度お礼を言ってから部屋を出る。
「さあ、ふたりを迎えに行こうか」
「あーい!」
心なしか、リーシャも嬉しそうだ。
俺も楽しみなんだよなぁ……ワクワクしてきたよ。
