さっき倒れていた男性騎士は、襲ってきた山賊っぽい男たちと戦闘状態になってあそこまでの怪我を負ったのだろう。
だが、山賊っぽい男たちはどうして騎士を襲ったのだろう。それも十人を超える大所帯で。
謎を解明するため、俺は男たちが走ってきた方向へと歩を進める。きっとこの先に彼が襲った原因があるだろうと推測したからだ。
進んでいくと、至るところに負傷した騎士を発見する。
彼らには治癒魔法で応急処置をしつつ、先を急いだ。
不意の突かれたのか、重傷者がかなり多い。
これは想定以上の事態が起きているようだ。
「ロアム、リーシャを連れて一度屋敷に戻ってくれ。負傷者は王国騎士団に所属する騎士たちで、数もかなり多いから応援がいる」
「分かりました。しっかりと伝えてきます。行こう、リーシャ」
「あい!」
ついてきていたロアムとリーシャに伝言役を頼んでから、俺はさらに先へと進む。
そして、ついに原因らしき物をついに発見した。
「あれは……馬車か」
すでに馬は逃げだしたあとのようで、馬車の部分だけが取り残されている。そこも四方から刃物でつけられた傷があり、中にいた人を引きずりだそうとしたと思われる痕跡が痛々しく残されていた。
近づいて気づいたのだが、ボロボロになっていてもこの馬車はかなりいい造りをしている。
恐らく、乗っていたのは名のある貴族だろう。
それで襲われたってことなのか……にしても、随分と計画的じゃないか?
誰が乗っていたかは分からないけど、この地に名のある貴族がやってくるなんてケースは滅多にないからな。
「――って、暢気に考えている場合じゃない!」
問題は乗っていた人の安否だ。
馬車はだいぶボロボロになっているが、扉は固く閉ざされたままとなっている。ここが破壊されていないということは、無事である可能性も残されているはずだ。
「大丈夫ですか! もう安心ですよ!」
必死に叫ぶが、応答はない。
……考えてみたら、それは自然な行動だ。
俺の言葉を信じようにも、そもそも俺とこの中に入っていると思われる貴族が親しい間柄でもない限り、そう簡単に信用して出てこようとはしないだろう。周りの騎士たちに説得してもらうという手も考えたが、脅されているかもという可能性まで考慮しているかもしれない。
どうしたものかと悩んでいたら、
「エマ様! この者の言葉は真実です! すでに我らを襲った者たちはすべて捕らえられています!」
俺の背後からそう叫んだ中年の騎士。
年齢的にも、彼が護衛役のリーダーだったみたいだな。
となると、馬車の中にいる貴族からの信頼も厚かったはず。
もしかしたら、出てきてくれるかも――と、その時、扉がゆっくりと開き、中から意外な人物が姿を現した。
だが、山賊っぽい男たちはどうして騎士を襲ったのだろう。それも十人を超える大所帯で。
謎を解明するため、俺は男たちが走ってきた方向へと歩を進める。きっとこの先に彼が襲った原因があるだろうと推測したからだ。
進んでいくと、至るところに負傷した騎士を発見する。
彼らには治癒魔法で応急処置をしつつ、先を急いだ。
不意の突かれたのか、重傷者がかなり多い。
これは想定以上の事態が起きているようだ。
「ロアム、リーシャを連れて一度屋敷に戻ってくれ。負傷者は王国騎士団に所属する騎士たちで、数もかなり多いから応援がいる」
「分かりました。しっかりと伝えてきます。行こう、リーシャ」
「あい!」
ついてきていたロアムとリーシャに伝言役を頼んでから、俺はさらに先へと進む。
そして、ついに原因らしき物をついに発見した。
「あれは……馬車か」
すでに馬は逃げだしたあとのようで、馬車の部分だけが取り残されている。そこも四方から刃物でつけられた傷があり、中にいた人を引きずりだそうとしたと思われる痕跡が痛々しく残されていた。
近づいて気づいたのだが、ボロボロになっていてもこの馬車はかなりいい造りをしている。
恐らく、乗っていたのは名のある貴族だろう。
それで襲われたってことなのか……にしても、随分と計画的じゃないか?
誰が乗っていたかは分からないけど、この地に名のある貴族がやってくるなんてケースは滅多にないからな。
「――って、暢気に考えている場合じゃない!」
問題は乗っていた人の安否だ。
馬車はだいぶボロボロになっているが、扉は固く閉ざされたままとなっている。ここが破壊されていないということは、無事である可能性も残されているはずだ。
「大丈夫ですか! もう安心ですよ!」
必死に叫ぶが、応答はない。
……考えてみたら、それは自然な行動だ。
俺の言葉を信じようにも、そもそも俺とこの中に入っていると思われる貴族が親しい間柄でもない限り、そう簡単に信用して出てこようとはしないだろう。周りの騎士たちに説得してもらうという手も考えたが、脅されているかもという可能性まで考慮しているかもしれない。
どうしたものかと悩んでいたら、
「エマ様! この者の言葉は真実です! すでに我らを襲った者たちはすべて捕らえられています!」
俺の背後からそう叫んだ中年の騎士。
年齢的にも、彼が護衛役のリーダーだったみたいだな。
となると、馬車の中にいる貴族からの信頼も厚かったはず。
もしかしたら、出てきてくれるかも――と、その時、扉がゆっくりと開き、中から意外な人物が姿を現した。