ジュリクの案内で悲鳴の聞こえた場所へ急ぐ俺たち。
近くまで来るとロアムとリーシャを馬車の荷台に残し、俺とリーシャで警戒しながら辺りの様子をうかがう。
そんな俺の手には一枚の魔草が握られていた。
アルラウネであるリーシャの力によって成長したこいつには、雷属性の魔法を発生させる力がある。いざとなったらこいつで抵抗するつもりだ。
できればそのような事態になってほしくはないのだが……ジュリクの聞き間違えだとも思えないんだよなぁ。
とにかく、不測の事態に備えて慎重に見回りをしていた――その時、
「ぐわあっ!?」
突如何者かの叫び声がした。
「お、男の声!?」
「襲われているようですね。私が聞いたのは女性の声でしたが……同行者でしょうか」
「とにかく只事じゃないみたいだ! 行こう!」
「はい」
ジュリクを連れて叫び声のした方へと急ぐ。
しばらく走っていると、ついに声の主と思われる男性を発見した。
「あれは……」
男性は腹部から血を流しながら倒れていた。
まだわずかに動いているので息はあると判断し、すぐに駆け寄って治療用の魔草を傷口へと当てた。こいつの特性なら、すぐに出血は止まるはずだ。
治療中に気づいたのだが、彼が来ているのは騎士団の制服だ。
となると、この近くで戦闘があったのか?
「なんだ、てめぇは!」
応急処置をしていると、こちらへ怒鳴り散らす別の男の声がした。顔をあげると、大きな剣を構える髭面の偉丈夫が男性に寄りそう俺を見下ろしている。
ヤツの風貌から察するに、山賊か?
でも、そんなのがこのデロス村近くに出没するなんて聞いたことがないぞ。
「通りすがりの医者か? だったら運が悪かったな。この場を目撃されちまったのなら始末しておかないと」
「えっ? ちょ、ちょっと――」
こちらの言い分などまったく聞かず、問答無用とばかりに剣を大きく振り上げる髭面の偉丈夫。
だが、そこへ颯爽とジュリクが駆けつけた。
「どきなさい」
「ぐはっ!?」
凄まじいスピードで距離を詰めたジュリクは、強烈な蹴りを山賊っぽい男に食らわせる。人間とは身体能力は大きく異なる獣人族の一撃は重く、体が折れ曲がるほどの衝撃を受けた男は痛みにのたうち回る。
そこへ、一連のドタバタを聞きつけた山賊っぽい男の仲間が集まってきた。その数は総勢で十一人。意外と大所帯だな。
「てめぇら……生きて帰れると思うなよ!」
斧やハンマーなど、それぞれ違った武器を手にして迫りくる厳つい十一人の男たち。さすがのジュリクでも十一人を同時に相手とするのは大変だろうから、俺は魔草の力で助太刀をすることに。
「いけっ!」
魔草に魔力を注ぐと、バチバチと音を立てながら稲妻が男たち目がけて飛んでいく。
「へっ?」
勢いよく先頭切って突っ込んできたスキンヘッドの男は、思わぬ事態に間の抜けた声をだす――直後、魔草によって生みだされた雷の直撃を受けた男たちは絶叫をあげながらその場にバタバタと倒れていった。
「こ、これは凄いな……」
我ながらとんでもない威力だなと感心しつつ、男たちが何を狙っていたのか、その原因を探るためにもう少し進んでみることにした。
とりあえず、後ろで拍手をしているジュリクに男性の介抱を頼んでおくか。
近くまで来るとロアムとリーシャを馬車の荷台に残し、俺とリーシャで警戒しながら辺りの様子をうかがう。
そんな俺の手には一枚の魔草が握られていた。
アルラウネであるリーシャの力によって成長したこいつには、雷属性の魔法を発生させる力がある。いざとなったらこいつで抵抗するつもりだ。
できればそのような事態になってほしくはないのだが……ジュリクの聞き間違えだとも思えないんだよなぁ。
とにかく、不測の事態に備えて慎重に見回りをしていた――その時、
「ぐわあっ!?」
突如何者かの叫び声がした。
「お、男の声!?」
「襲われているようですね。私が聞いたのは女性の声でしたが……同行者でしょうか」
「とにかく只事じゃないみたいだ! 行こう!」
「はい」
ジュリクを連れて叫び声のした方へと急ぐ。
しばらく走っていると、ついに声の主と思われる男性を発見した。
「あれは……」
男性は腹部から血を流しながら倒れていた。
まだわずかに動いているので息はあると判断し、すぐに駆け寄って治療用の魔草を傷口へと当てた。こいつの特性なら、すぐに出血は止まるはずだ。
治療中に気づいたのだが、彼が来ているのは騎士団の制服だ。
となると、この近くで戦闘があったのか?
「なんだ、てめぇは!」
応急処置をしていると、こちらへ怒鳴り散らす別の男の声がした。顔をあげると、大きな剣を構える髭面の偉丈夫が男性に寄りそう俺を見下ろしている。
ヤツの風貌から察するに、山賊か?
でも、そんなのがこのデロス村近くに出没するなんて聞いたことがないぞ。
「通りすがりの医者か? だったら運が悪かったな。この場を目撃されちまったのなら始末しておかないと」
「えっ? ちょ、ちょっと――」
こちらの言い分などまったく聞かず、問答無用とばかりに剣を大きく振り上げる髭面の偉丈夫。
だが、そこへ颯爽とジュリクが駆けつけた。
「どきなさい」
「ぐはっ!?」
凄まじいスピードで距離を詰めたジュリクは、強烈な蹴りを山賊っぽい男に食らわせる。人間とは身体能力は大きく異なる獣人族の一撃は重く、体が折れ曲がるほどの衝撃を受けた男は痛みにのたうち回る。
そこへ、一連のドタバタを聞きつけた山賊っぽい男の仲間が集まってきた。その数は総勢で十一人。意外と大所帯だな。
「てめぇら……生きて帰れると思うなよ!」
斧やハンマーなど、それぞれ違った武器を手にして迫りくる厳つい十一人の男たち。さすがのジュリクでも十一人を同時に相手とするのは大変だろうから、俺は魔草の力で助太刀をすることに。
「いけっ!」
魔草に魔力を注ぐと、バチバチと音を立てながら稲妻が男たち目がけて飛んでいく。
「へっ?」
勢いよく先頭切って突っ込んできたスキンヘッドの男は、思わぬ事態に間の抜けた声をだす――直後、魔草によって生みだされた雷の直撃を受けた男たちは絶叫をあげながらその場にバタバタと倒れていった。
「こ、これは凄いな……」
我ながらとんでもない威力だなと感心しつつ、男たちが何を狙っていたのか、その原因を探るためにもう少し進んでみることにした。
とりあえず、後ろで拍手をしているジュリクに男性の介抱を頼んでおくか。